院長先生のコラム

糖尿病性ケトアシドーシス

まずは糖尿病性ケトアシドーシスです。糖尿病性ケトアシドーシスと書くと長くて面倒なので、以降はDKA(diabetic ketoacidosisの略)と記します。

DKAはインスリン欠乏(インスリンがほとんどないこと)から起こります。インスリン欠乏になると、ブドウ糖は細胞内に取り込まれなくなります。これにより高血糖になりますが、細胞そのものは飢餓状態になっています。このとき身体は脂肪を分解してエネルギーを得ようとします。脂肪を分解した残りカスをケトン体といいます。ケトン体は血液を酸性にする性質を持っており、血液中のケトン体が増えると血液は酸性に傾きます。血液が酸性に傾くことをアシドーシスといいます。ケトン体が原因のアシドーシスなので、これをケトアシドーシスといいます。ケトアシドーシスの原因はインスリン欠乏(≒糖尿病)なので、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と呼ばれます。

DKAでは同時に脱水(体内の水分が不足すること)も起こります。脱水が起こると、さらに血糖値は高くなります。血糖値は血液中のブドウ糖濃度だからです。インスリン欠乏、脱水、アシドーシスのいずれも生命にかかわる問題です。DKAはこの3つを併せ持っており、適切な治療が行われなければ生命にかかわります。DKAの死亡率は2~10%と報告されています。繰り返しますが、DKAは危険な状態なのです。

ではDKAはどんなときに起こるのでしょうか。最も多いのは「まだ診断されていない」1型糖尿病です。特に劇症1型糖尿病と呼ばれる「本当に」突然発症する1型糖尿病です。一般的な1型糖尿病は週~月の単位で悪化しますが、劇症1型糖尿病では数日で悪化します。昨日までは元気だった人が多尿、口渇、多飲になり、これまでに感じたことのない倦怠感に襲われます。昨日までは正常に分泌されていたインスリンが、今日になって全く分泌されなくなるからです。糖尿病と診断されるまで病態は悪化を続け、ついにはDKAになってしまいます。一般的な1型糖尿病でもDKAになることはありますが、糖尿病の治療を開始されるとDKAまで至ることはほとんどありません。ところが1型糖尿病と診断された人でもDKAになることがあります。何らかの理由でインスリン注射ができなかったときです。物騒な話ですが、大災害時などと考えてください。

次はDKAの症状です。先に挙げた多尿、口渇、多飲、倦怠感の他に、風邪のような症状や腹痛のこともあります。腹痛は症状の強いことが多く、他の症状を忘れてしまうこともありますが、腹痛に多尿、口渇などの症状が加わればDKAの可能性が高くなります。風邪や腹痛で受診したときでも、気になる症状は余すことなく伝えることが重要です。

最後にDKAの治療です。入院が必須です。最初は点滴で血糖値を下げますが、このとき点滴でインスリンも投与されます。落ち着いたところでインスリンの注射を行います(自分で注射をします)。DKAの原因はほとんどが1型糖尿病なので、DKAの状態を脱してもインスリン治療は続けることになります。

 

糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)

インスリン欠乏が原因。診断前の1型糖尿病や診断後の1型糖尿病でもインスリン注射ができないときに起こる。生命にかかわる危険な状態であり、入院治療が必要になる。

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