院長先生のコラム

インスリン作用不足

次に「インスリン作用不足」について考えてみます。結論から記しますと、「インスリン作用不足」には2つの側面があります。「インスリン分泌不全」「インスリン抵抗性」です。急に難しくなったかもしれませんが、ここは我慢して読み進めてください。数分後には理解できているはずです。

「インスリン分泌不全」の方が分かりやすいと思います。医学では「不全」という言葉をよく使いますが、この「不全」とは不完全や不十分ということを意味します。つまり「心不全」とは心臓の働きが不十分なことを示すのです。「腎不全」や「肝不全」もそれぞれ腎臓や肝臓の働きが不十分なことを意味しています。そして「インスリン分泌不全」ですが、これは「インスリンの分泌が不十分」ということになります。

インスリン分泌不全の原因は、主に遺伝的要因と考えられています(ここでは糖尿病の大多数を占める2型糖尿病について考えます)。図2は日本人と欧米人のインスリン分泌能力の違いを示したものです。横軸に空腹時(10時間以上の絶飲食後の)血糖値、縦軸に空腹時のインスリン分泌量をとっています。例えば空腹時血糖が100mg/dl(ギリギリ正常値)の場合は、日本人で約50μU/ml、欧米人で約60μU/mlのインスリンが分泌されていることが分かります。しかし空腹時血糖が120mg/dl(これは糖尿病の可能性があります)まで上がると、日本人では40μU/mlとなり、100mg/dlのときよりも低下しています。その後も空腹時血糖が上がれば上がるほど分泌されるインスリン量は低下します。つまり日本人は空腹時血糖が100mg/dlまではインスリンをたくさん分泌することによって血糖値の上昇を抑えることができますが、それ以上の血糖値になると十分なインスリンを分泌できなくなるのです。これに対し、欧米人は空腹時血糖が120mg/dlまではインスリンをたくさん分泌することができるようです。また最大のインスリン分泌量は日本人の約2倍に達しています。そもそも日本人は欧米人よりもインスリン分泌能力が低いのです。これは広い意味の遺伝的要因といえます。

図2 日本人と欧米人のインスリン分泌能力の違い

図2

また両親や祖父母に糖尿病の人がいると、糖尿病になりやすいと考えられています(必ず発症するわけではありません。糖尿病の発症には生活習慣も大きく関係します)。これは狭い意味での遺伝的要因となります。

次に「インスリン抵抗性」ですが、これは文字だけみてもよく分かりませんね。難しい用語なので結論だけ記します。「インスリン抵抗性」とは「インスリンが効きにくい」ことを意味しています。インスリン抵抗性の原因としては肥満や運動不足などが知られています。一般的にインスリン抵抗性の強い患者さんは、多量のインスリンを分泌していることが多いようです。インスリンが効きにくいため、量でカバーしているのです。

インスリン作用不足

インスリン分泌不全(インスリンの分泌が不十分)とインスリン抵抗性(インスリンが効きにくい)の2つの側面がある。インスリン分泌不全には遺伝が、インスリン抵抗性には生活習慣が関係している。

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