院長先生のコラム

糖尿病の症状

よく糖尿病は痛くも痒くもないといいますが(実際には痛みが起こることもあります)、高血糖状態になると様々な症状がでてきます。合併症によるものもあれば、高血糖そのものによるものもあります。ここでは高血糖によるものを考えてみます。

高血糖による症状としては、多尿(夜間尿)、口渇、多飲、体重減少、倦怠感などがあります。診断の項でも触れましたが、診断の項を読んでいない方のためにもう一度説明します。診断の項で読んだ方も復習と思ってお付き合いください。

血糖値が高くなると、尿中にブドウ糖が漏れるようになります(だから糖尿病なのです)。ブドウ糖には水を引きつける性質があり、尿中にブドウ糖が漏れると尿中の水が増えます。これを多尿といいます。尿量がさらに増えると寝ている間にもたくさんの尿を作るようになり、尿意で眼が覚めることもあります。これが夜間尿です(高齢の方の場合は糖尿病とは無関係な夜間尿もあります)。多尿になると血液の水分は少なくなり、血液は濃くなります(医学的には浸透圧が高くなるといいます)。血液が濃くなると身体は血液を元の濃度に戻そうとします(つまり薄めようとします)。これが口渇です。口渇の結果たくさん水分を摂るようになります。これを多飲といいます。多飲だから多尿になるのではなく、多尿だから多飲になるのです。つまり糖尿病の多尿は飲水を減らしても改善しないのです。

次に体重減少をみてみましょう。実は高血糖の状態ではインスリンの効きが悪くなります。これを「糖毒性」といいます(残念ながら名は体を表していません)。インスリンはブドウ糖を細胞内に移動させますが、その細胞のひとつに脂肪細胞があります。インスリンの働きによって「過剰な」ブドウ糖は脂肪細胞の中に取り込まれますが、取り込まれたブドウ糖は脂肪細胞の中で脂肪に変わります。つまり「過剰な」ブドウ糖とインスリンによって脂肪は増えるのです(インスリンで体重が増えるという都市伝説がありますが、これは誤りです)。では「糖毒性」があるときはどうなるのでしょうか。「糖毒性」があるとインスリンの効きが悪くなるので、「過剰な」ブドウ糖があっても脂肪細胞には取り込まれません。それどころか脂肪を分解してエネルギーを得ようとします。脂肪は減ってばかりなので体重は減ってしまいます。このとき筋肉の細胞でも同じような現象が起こっています。筋肉の細胞にもブドウ糖は取り込まれなくなりますが、筋肉は常に働かなければなりません。ブドウ糖は筋肉にとってのエネルギーなので、「糖毒性」があるとき筋肉もエネルギー不足になります。エネルギー不足になった筋肉は自らのタンパク質をアミノ酸に分解してエネルギーを得ようとします。その結果筋肉量が減少し、体重も減ってしまうのです

最後に倦怠感です。倦怠感というのは「何となくだるい」という症状です。倦怠感の原因は先程と同様に細胞のエネルギー不足です。細胞にエネルギーが届かなくては頑張ることはできません。それどころか日常生活を送るのも難しくなります。ところが食欲は結構あり、特に甘いものが欲しくなります。不思議な感じがしますが、細胞レベルでは飢餓状態になっており、その結果として食欲が落ちないのです。

体重減少や倦怠感は糖尿病以外の病気でもみられます。癌では体重減少も倦怠感もみられますが、一般的に食欲はなくなります。甲状腺ホルモンが過剰になると体重減少がみられます。このとき食欲は旺盛になります。糖尿病と非常に似ていますが、多尿・口渇・多飲の有無で見分けることができます。逆に甲状腺ホルモンの数値が低くなると倦怠感が強くなりますが、体重は増加傾向を示すことが多いようです。また倦怠感はうつ状態でもみられます。このように体重減少や倦怠感はいろいろな病気でみられるので、糖尿病と早合点してはいけません。

 

糖尿病の症状

多尿(夜間尿)、多飲、口渇、体重減少、倦怠感。体重減少や倦怠感は糖尿病以外の病気でもみられることがある。

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